寸法補助記号
寸法補助記号は特定の寸法を簡略化して記号で表示するものです。何を表す記号なのかがわからないと図面を理解できないので、これらの記号は数もそれほど多くはないので覚えるようにしましょう。
記号 | 意味 | 呼び方 |
---|---|---|
φ | 180°を超える円弧の直径、または円の直径 | まる、ふぁい |
Sφ | 180°を超える球の円弧の直径、または球の直径 | えすまる、えすふぁい |
□ | 正方形の一辺の長さ | かく |
R | 半径 | あーる |
CR | コントロール半径 | しーあーる |
SR | 球の半径 | えすあーる |
![]() | 円弧の長さ | えんこ |
C | 45°の面取り | しー |
t | 厚さ | てぃー |
![]() | ざぐり | ざぐり |
![]() | 皿ざぐり | さらざぐり |
![]() | 穴深さ | あなふかさ |
半径の表し方
- 半径の寸法は、半径の記号Rを寸法数値の前に指示する。ただし、半径を示す寸法線を円弧の中心まで引く場合には、記号を省略してもよい。
- 円弧の半径を示す寸法線には、円弧の側にだけ矢印をつけ、中心の側にはつけない。
- 半径の寸法を指示するために、円弧の中心の位置を示す必要がある場合には、十字、または黒丸でその位置を示す。
- 円弧の半径が大きくて、その中心を示す必要がある場合には、その半径の寸法線を折り曲げてもよい。この場合、寸法線の矢印のついた部分は、正しい中心の位置に向いていなければならない。
- 同一中心を持つ半径は、長さ寸法と同様に、累進寸法記入法を用いて指示してもよい。
- 実形を示していない投影図形に、実際の半径を指示する場合には、寸法数値の前に”実R”の文字記号を、展開した状態の半径を指示する場合には”展開R”の文字記号を数値の前に記入する。
- 半径の寸法が他の寸法から導かれる場合には、半径を示す寸法線と数値なしの記号(R)によって指示する。
- かどの丸み、隅の丸みなどにコントロール半径を要求する場合には、半径数値の前に記号”CR”を指示する。



直径の表し方
- 寸法線の両端に端末記号が付く場合には、寸法数値の前に直径記号φは記入しない。ただし、引出線を用いて寸法を記入する場合には、寸法数値の前に直径記号φを記入する。
- 円形の一部を欠いた図形で寸法線の端末記号が片側の場合は、半径寸法と誤解しないように、寸法数値の前に直径記号φを記入する。
- 円形を図に表さないで、円形であることを示す場合には、寸法数値の前に直径記号φを記入する。
- 直径の寸法数値の後に、明らかに円形、円筒形になる加工方法が併記されている場合には、寸法数値の前に直径記号φは記入しない。
- 直径の異なる円筒が連続していて、その寸法数値を記入する余地がない場合には、片側に書くべき寸法線の延長線と矢印を描き、直径記号φを記入する。



球の直径と半径の表し方
- 球の直径、または半径の寸法は、その寸法数値の前に球の記号 Sφ または SR を記入して表す。
- 球の半径の寸法が他の寸法から導かれる場合には、半径を示す寸法線と寸法数値なしの記号(SR)で指示する。


正方形の表し方
- 正方形を図に表さないで、正方形であることを表す場合には、その辺の長さを表す寸法数値の前に、正方形の一辺であることを示す記号□を記入する。
- 正方形が図に現れる場合には、正方形であることを示す記号をつけずに、両辺の寸法を記入しなければならない。


板厚の表し方
- 板の主投影図に、その厚さの寸法を表す場合には、その図の付近、または図の中の見やすい位置に、厚さを表す寸法数値の前に、厚さを示す記号tを記入する。

弦の長さの表し方
- 弦の長さは、弦に直角に寸法補助線を引き、弦に平行な寸法線を用いて表す。

円弧の長さの表し方
- 弦の場合と同様な寸法補助線を引き、その円弧と同心の円弧を寸法線として引き、寸法数値の前に円弧の長さの記号
をつける。
- 円弧を構成する角度が大きいときや、連続して円弧の寸法を記入するときは、円弧の中心から放射線状に引いた寸法補助線に寸法線を当ててもよい。この場合、2つ以上の同心の円弧のうち、1つの円弧の長さを明示する必要があるときには、下記のいずれかによる。
- 円弧の寸法数値に対し、引出線を引き、引き出された円弧の側に矢印をつける。
- 円弧の長さを表す寸法数値の後に、円弧の半径を括弧に入れて示す。この場合は、円弧の長さに記号をつけてはならない。

面取りの表し方
- 一般の面取りは、通常の寸法記入方法によって表す。
- 45°の面取りの場合には、面取りの寸法数値×45°、または記号Cを寸法数値の前に記入して表す。

曲線の表し方
- 円弧で構成する曲線の寸法は、一般にはこれらの円弧の半径とその中心、または円弧の接線の位置とで表す。
参考・関連規格
- JIS B 0001:2010 機械製図
- JIS Z 8317-1:2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則