寸法の表し方
寸法は、その部品が機能するための重要なものです。間違った表し方をしてしまうと、想像していたものとは違うものができ、部品として機能しなくなることもあります。
このサイトで記述されているものはJIS規格に沿って書かれていますが、JIS規格ではない図面もあります。JIS規格での長さ寸法の数値は、特に記述がなければ単位はmm(ミリメートル)となりますが、海外向けまたは海外で描かれた図面などは、何の記述もなくインチで描かれている場合もありますので注意が必要です。ちなみに1インチは25.4mmとなります。
寸法補助線
寸法は、寸法補助線を用いて寸法線を記入し、寸法線の上側に寸法数値を記入します。寸法補助線を引き出すと図が見づらくなる場合には、寸法補助線がなくても良いことになっています。
寸法補助線は寸法線と同じ位置か、わずかに越えるまで延長します。寸法補助線と図形との間はぴったりくっつけるか、わずかに離して描きます。これらは特別な理由がない限り1枚に図面の中で統一します。

寸法の位置を明確にするために、寸法補助線を寸法線に対し垂直ではなく角度をつけても良いことになっています。

2つの面の間に丸みがある場合などで、仮想交点の寸法が必要な場合には、仮想交点の位置までの形状を細い実線で表し、そこから寸法補助線を引き出します。仮想交点を示すものかどうかがわかりづらい場合は、それぞれの線を互いに交差させるか、または交点に黒丸を付けることとされていますが、一番わかり易いのは寸法数値の横に(仮想交点)と表示することです。

寸法線
寸法線は、指示する長さ、または角度を測定する方向に平行に引き、線の両端には端末記号をつけます。特別な理由がない限り1枚の図面の中では端末記号は統一します。


角度寸法を記入する寸法線は、角度を構成する二辺、またはその延長線の交点を中心として、両辺またはその延長線の間に描いた円弧で表します。

弦の長さや弧の長さを表す場合は、下記のようにします。


段差がある形体間の寸法記入は、直列寸法か、累進寸法によって指示します。


狭いところでの寸法記入は、部分拡大図を用いて記入するか、下記の方法によって記入します。
- 引出線を、寸法線から斜め方向に引き出し、寸法数値を記入する。この場合には、引出線の引き出す側の端には何もつけない。
- 寸法線を延長して、その上側に記入してもよい。
- 寸法補助線の間隔が狭くて矢印を記入する余地がない場合には、矢印の代わりに黒丸、または斜線を用いてもよい。

対称中心線の片側だけを表した図では、寸法線はその中心線を越える長さにします。この場合、延長した寸法線の端には、端末記号をつけません。
対称図形で多数の径の寸法を記入する場合には、寸法線の長さを更に短くして、数段に分けて記入してもよいです。

寸法数値


長さの寸法数値は、通常はミリメートル単位で記入し、単位記号はつけません。
角度寸法の数値は、通常は度の単位で記入し、必要がある場合には、分、秒を併用します。度、分、秒を表すには、数字の右肩にそれぞれ単位記号 ° 、’ 、” を記入します。
角度寸法の数値をラジアンの単位で記入する場合には、その単位記号 rad を記入する。
寸法数値の桁数が多い場合でもコンマはつけません。
寸法記入は、累進寸法記入法の場合を除き、下記のように記入します。
- 寸法数値は、水平方向の寸法線に対しては図面の下辺から、垂直方向の寸法線に対しては、図面の右辺から読めるように指示する。斜め方向の寸法線に対しても、これに準じて書く。
- 寸法数値は、寸法線を中断しないで、これに沿ってその上側にわずかに離して記入し、寸法線のほぼ中央に指示する。
- 寸法数値は、垂直線に対し左上から右下に向かい約30°以下の角度をなす方向には、寸法線の記入を避ける。ただし、図形の関係で記入しなければならない場合には、紛らわしくないように記入する。
寸法数値は、図面に描いた線で分割されない位置、または線に重ならない位置に記入します。どうしても重なってしまう場合には、引出線を用いて記入します。

寸法補助線を引いて記入する直径の寸法が対称中心線の方向に幾つも並ぶ場合には、各寸法線はなるべく同じ間隔に引き小さい寸法を内側に、大きい寸法を外側にして寸法数値をそろえて記入します。ただし、紙面の都合で寸法線の間隔が狭い場合には、寸法数値を対称中心線の両側に交互に書いてもよいことになっています。

寸法線が長くて、その中央に寸法数値を記入するとわかりにくくなる場合には、いずれか一方の端末記号の近くに片寄せて記入することができます。

寸法数値の代わりに、文字記号を用いることもできます。この場合には、その数値を別に表示します。

- JIS B 0001:2010 機械製図
- JIS Z 8317-1:2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則