寸法の配置
同じ箇所を表す寸法でも、その配置方法は複数あります。間違った配置方法をしてしまうと製品として機能しなくなることもありますので、それぞれの配置方法の特徴を理解して寸法を記入するようにしましょう。
寸法の配置の基本
寸法の配置は通常、並列寸法か累進寸法(累寸:るいすん)を用いることをおすすめします。この2つの配置方法は1箇所を基準とした寸法が記入されるので、図面を見る側としては計算をして位置を出す必要がないのでポカミスなども少なくなります。
ただし、その製品の機能上、穴と穴の間などの寸法が重要になる場合には、穴から穴までの寸法を記入する直列寸法を使用します。
この他にも、形状が同じで寸法が違う製品がいくつもある場合には表形式寸法を用います。表形式寸法は1枚の図面で寸法が微妙に異なる複数の製品を表すことができますが、各製品を区別するための番号を明記しないと、加工時に寸法を間違えてしまったり、個数を間違えてしまったりすることもあるので注意が必要です。
また、穴などが数十個もあり、穴位置に規則性がない場合には表形式で座標を表す座標寸法を使用します。穴が多い図面に直列寸法や並列寸法を使用するとゴチャゴチャした図面になり、どこを表している寸法なのかがわかりづらくなってしまうためです。
座標寸法は穴位置などを1箇所にまとめることができるので見やすい図面にすることができますが、穴径が複数ある場合などには、座標に対しての穴径がわかるように明記しなければなりません。
直列寸法記入法
直列寸法記入法は、直列に連なる個々の寸法に与えられる寸法公差が、逐次累積してもよいような場合に適用する。

並列寸法記入法
並列寸法記入法は、並列に寸法を記入するので、個々の寸法公差が他の寸法公差に影響をあたえることはない。

累進寸法記入法
累進寸法記入法は、寸法公差に関して、並列寸法記入法と全く同等の意味を持ちながら、一つの形体から次の形体へ寸法線をつないで、1本の連続した寸法線を用いて簡便に表示できる。この場合、寸法の起点の位置は起点記号で示し、寸法線の他端は矢印で示す。寸法数値は、寸法補助線に並べて記入するか、矢印の近くに寸法線の上側にこれに沿って指示する。

表形式寸法記入法
類似の部品で寸法が異なる形体では、寸法を数値表によって示す表形式の方法を用いることができる。

座標寸法記入法
正座標寸法記入法
穴の位置や大きさなどの寸法は、正座標寸法記入法を用いて表にしてもよい。この場合、表に示す X、Y の数値は、起点からの寸法である。

極座標寸法記入法
カムプロファイルなどの寸法は、極座標寸法記入法を用いて指示してもよい。

複合寸法記入法
2つ以上の寸法記入法を同じ図面上で用いてもよい。
- JIS B 0001:2010 機械製図
- JIS Z 8317-1:2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則