図形の表し方 - 図形の省略
図形の省略の基本
同じ形状が何十回、何百回と繰り返される場合、図面を描く方も見る方もうんざりしてしまいます。このような場合は、繰り返される回数を寸法部分に明記することで図を省略することができます。
対称図形の場合にも、対称となる一方の図形を省略することができます。
また、縦横一方の寸法が非常に長い場合には、縮尺を大きくとって全体を表示させなければなりませんが、縮尺を大きくすると細部が見えにくくなってしまいます。このような場合には、中間部分を省略することで縮尺を小さくでき、細部まで見えやすくすることができます。
隠れ線なども理解を妨げない場合、省略して良いことになっています。
図形の省略 一般事項
理解を妨げない場合には、かくれ線や切断面の奥に見える線は省略することができます。
一部に特定の形を持つものは、なるべくその部分が図の上側に現れるように描きます。

ピッチ円上に配置する穴などは、側面図や断面図で表す場合、ピッチ円が作る円筒を表す細い一点鎖線と、その片側だけに1個の穴を図示し、他の穴の図示を省略することができます。

対称図形の省略
中心線に対称の製品の場合には、中心線の片側を省略することができます。省略する場合には、下記のどちらかの方法によって、図形が省略されていることを示します。
- 対称中心線の両端部に短い2本の平行細線によって対称図示記号をつける。
- 対称中心軸の片側の図形を、対称中心線を少し越えた部分まで描く。この場合、対称図示記号は省略する。


繰り返し図形の省略
形状も寸法も同じものが多数並ぶ場合には、以下のような方法で図形を省略することができます。
- 実形の代わりに図記号をピッチ線と中心線との交点に記入する。この場合、その意味をわかりやすい位置に記述するか、引出線を用いて記述する。
- 読み誤るおそれがない場合には、両端部(一端は1ピッチ分)もしくは要点だけを実形、または図記号によって示し、他はピッチ線と中心線との交点で示す。ただし、寸法記入によって交点の位置が明らかな場合には、ピッチ線に交わる中心線を省略してもよい。


中間部分の省略
断面形状が同じ部分や、同じ形が規則正しく並んでいる部分、長いテーパなどの部分は、中間部分を切り取って必要な部分だけを近づけて図示することができます。

参考・関連規格
- JIS B 0001:2010 機械製図
- JIS Z 8316:1999 製図-図形の表し方の原則