データム
- 用語の意味
- データムの示し方
- データムの記号
- データムの位置
- 公差記入枠のデータム文字記号
- データムターゲット
- データムターゲット記入枠
- データムターゲット記号
- 形体グループをデータムとする指示
- データムの設定
- 直線・平面のデータム
- 円筒軸線のデータム
- 共通データム
用語の意味
- データム…関連形体に幾何公差を指示するときに、その公差域を規制するために設定した理論的に正確な幾何学的基準。この基準が点、直線、軸直線、平面、中心平面の場合には、それぞれデータム点、データム直線、データム軸直線、データム平面、データム中心平面と呼ぶ。
- データム形体…データムを設定するために用いる対象物の実際の形体。
- 実用データム形体…データム形体に接してデータムの設定を行う場合に用いる、十分に精密な形状をもつ実際の表面。
- 共通データム…2つのデータム形体によって設定される単一のデータム
- データム系…公差付き形体の基準とするために、個別の二つ以上のデータムを組み合わせて用いる場合のデータムのグループ。
- データムターゲット…データムを設定するために、装置や器具などに接触させる対象物上の点や線、または限定した領域。
データムの示し方
データムの記号
- 公差付き形体に関連付けられるデータムは、データム文字記号を用いて表す。正方形の枠で囲んだ大文字を、塗りつぶしたデータム三角記号、または塗りつぶさないデータム三角記号とを結んで示す。
- 塗りつぶしたデータム三角記号と塗りつぶさないデータム三角記号との間には、意味の違いはない。

データムの位置
- データムが線、または表面である場合には、形体の外形線上、または外形線の延長線上にデータム三角記号を指示する。また、表面に示した引出線上に指示してもよい。
- データムが軸線、中心平面、点である場合には、寸法線の延長上にデータム三角記号を指示する。二つの端末記号を記入する余地がない場合には、それらの一方をデータム三角記号に置き換えても良い。
- データムを形体の限定した部分だけに適用する場合には、この限定部分を一点鎖線と寸法指示によって示す。



公差記入枠のデータム文字記号
- 単独形体によって設定されるデータムは、一つの大文字を用いる。
- 二つの形体によって設定されるデータムは、ハイフン”-“で結んだ二つの大文字を用いる。
- 二つ以上の形体によって設定されるデータムは、データムに用いる大文字を別々の区画に指示する。

データムターゲット
データムターゲット記入枠
- データムターゲットは、横線で二つに区切った円形の枠(データムターゲット記入枠)によって図示する。
- データムターゲット記入枠の下段には、形状全体のデータムと同じデータムを指示する文字記号と、データムターゲットの番号を表す数字を記入する。
- データムターゲット記入枠の上段には、補足事項を記入する。補足事項がデータムターゲット記入枠の中に記入しきれない場合には、枠の外側に表示し、引出線で枠と結ぶ。
- データムターゲット記入枠は、矢印をつけた引出線でデータムターゲット記号と結ぶ。

データムターゲット記号
用途 | 記号 | 備考 |
---|---|---|
データムターゲットが点の場合 | ![]() | 太い実線の×印 |
データムターゲットが線の場合 | ![]() | 二つの×印を細い実線で結ぶ |
データムターゲットが円の場合 | ![]() | 細い二点鎖線で囲み、ハッチングを施す。 ただし図示が困難な場合には細い二点鎖線の代わりに細い実線を用いてもよい。 |
データムターゲットが長方形の場合 | ![]() |



形体グループをデータムとする指示
複数の穴のような形体グループの実際の位置を他の形体、または形体グループのデータムとして指示する場合は、公差記入枠にデータム三角記号をつける。
データムの設定
データム形体として指定された形体には、加工工程で凸面、凹面、円すい状などの形状となることがあるが、このような形体に対してデータムを設定する方法を下記に示す。
直線・平面のデータム
- 直線または平面をデータムとして指定した場合、データム形体を実用データム形体との最大間隔が可能な限り小さくなるように置いてデータムを設定する。
- データム形体が実用データム形体に対して安定している場合には、そのままの状態でデータムを設定する。
- データム形体が実用データム形体に対して不安定な場合には、この隙間が安定するように適当な間隔をとって支えを置き、データム設定をする。この場合、線のデータム形体に対しては2個の支えを、平面のデータム設定に対しては3個の支えを用いる。
円筒軸線のデータム
- 円筒の穴、または軸の軸線をデータムとして指示した場合、このデータムは穴の最大内接円筒の軸直線、または軸の最小外接円筒の軸直線によって設定する。
- データム形体が実用データム形体に対して不安定な場合には、この円筒をどの方向に動かしても移動量が等しくなるような姿勢に設定する。
共通データム
- 共通軸直線、または共通中心平面のデータムは、別々のデータム形体に対して、共通の実用データム形体によってデータムを設定する。
参考・関連規格
- JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式
- JIS B 0022:1984 幾何公差のためのデータム