幾何公差
幾何特性に用いる記号
公差の種類 | 特性 | 記号 | データム指示 |
---|---|---|---|
形状公差 | 真直度 | ![]() | 否 |
平面度 | ![]() | 否 | |
真円度 | ![]() | 否 | |
円筒度 | ![]() | 否 | |
線の輪郭度 | ![]() | 否 | |
面の輪郭度 | ![]() | 否 | |
姿勢公差 | 平行度 | ![]() | 要 |
直角度 | ![]() | 要 | |
傾斜度 | ![]() | 要 | |
線の輪郭度 | ![]() | 要 | |
面の輪郭度 | ![]() | 要 | |
位置公差 | 位置度 | ![]() | 要・否 |
同心度(中心点に対して) | ![]() | 要 | |
同軸度(軸線に対して) | ![]() | 要 | |
対称度 | ![]() | 要 | |
線の輪郭度 | ![]() | 要 | |
面の輪郭度 | ![]() | 要 | |
振れ公差 | 円周振れ | ![]() | 要 |
全振れ | ![]() | 要 |
説明 | 記号 |
---|---|
公差付き形体指示 | ![]() |
データム指示 | ![]() |
データムターゲット | ![]() |
理論的に正確な寸法 | ![]() |
突出公差域 | ![]() |
最大実体公差方式 | ![]() |
最小実体公差方式 | ![]() |
自由状態 | ![]() |
全周(輪郭度) | ![]() |
包絡の条件 | ![]() |
共通公差域 | ![]() |
公差記入枠
- 要求事項は、二つ以上に分割した長方形の枠の中に記入する。これらの区画には左から右の順序で、下記の要求事項を記入する。
- 幾何特性に用いる記号
- 寸法に使用した単位での公差値。公差域が円筒または円であるなら記号φを、球であるなら記号Sφをその公差値の前につける。
- 必要ならば、データム、またはデータム系の文字記号
- 公差を二つ以上の形体に適用する場合には、記号×を用いて形体の数を公差記入枠の上側に指示する。
- 公差域内にある形体の形状の品質の指示をする必要がある場合には、公差記入枠の付近に書く。
- 一つの形体に対して二つ以上の公差を指定する必要がある場合には、公差指示は一つの公差記入枠の下側に公差記入枠をつけて示してもよい。



つまり、基準となるデータムの指示が必要ない場合には、幾何特性に用いる記号とその公差値の2つが指示されればよいということです。
公差域
- 公差域の幅は、特に指示した場合を除き、指定した幾何形状に垂直に適用する。
- 真円度公差の場合は、公差域の幅は正接線に直角な直線が図示軸線に交差する方向に適用される。
- 一方向に公差を指示した軸線または点の場合には、位置を決める公差域の幅の姿勢は、特に指示した場合を除いて、理論的に正確な寸法で決められた位置にあり、指示線の矢の方向で示されたように0°または90°である。
- 二つの公差を指示した場合には、特に指示した場合を除いて、それらは公差域が互いに直角になるように適用する。
- 記号φが公差値の前に付記してある場合には、公差域は円筒で、記号Sφが公差値の前に付記してある場合には、公差域は球となる。
- 幾つかの離れた形体に対して、同じ公差値を適用する場合には、個々の公差域は図のように指示することができる。
- 幾つかの離れた形体に対して、一つの公差域を適用する場合には、公差記入枠の中に文字記号CZを記入する。




補足事項の指示方法
- 輪郭度特性を断面外形のすべてに、または境界の表面のすべてに適用する場合には全周記号を用いて表す。
- ねじ山に対して指示する幾何公差やデータム参照は、特別な指示がない限り、ピッチ円筒から導き出される軸線に適用する。
- 歯車やスプラインに対して指示する幾何公差やデータム参照は、ピッチ円直径を表す”PD”、外形を表す”MD”、谷底を表す”LD”のような特別な指示がされた、特定の形体に適用する。


理論的に正確な寸法
- 位置度、輪郭度、傾斜度の公差を一つの形体、またはグループ形体に指定する場合、それぞれ理論的に正確な位置、姿勢や輪郭を決める寸法を理論的に正確な寸法という。
- 理論的に正確な寸法は、データム系の相対的な姿勢の決定に指示する寸法にも用いる。
- 理論的に正確な寸法は、公差をつけず、長方形の枠で囲んで示す。

限定した指示
- 形体の全長さのどこにでも存在するような限定した長さに同じ特性の公差を適用する場合には、この限定した長さの数値は、公差値の後に斜線を引いて記入する。この指示は、形体の全体に対する公差記入枠の下側の区画に直接記入する。
- 公差を形体の限定した部分にだけ適用する場合には、この限定した部分を太い一点鎖線で示し、それに寸法を指示する。


突出公差域
- 突出公差域は、形体の突出部に対して適用する。
- 突出長さを表す数字の前に、突出公差域記号を記入する。
- 突出部を細い二点鎖線で表す。
- 公差記入枠の公差値に続けて、突出公差域記号を記入する。

最大実体公差方式
最大実体公差方式は、記号を用いて指示する。この記号は、公差値、データム文字記号、またはその両方の後に置く。

最小実体公差方式
最小実体公差方式は、記号を用いて指示する。この記号は、公差値、データム文字記号、またはその両方の後に置く。

自由状態
- 自由状態とは、重力だけを受けた部品の状態を表す。
- 非剛性部品に対する自由状態は、指示した公差値の後に記号を用いて指示する。

幾何公差の相互関係
- 機能的な要求がある部分には、形体の幾何偏差を定めるために一つ以上の特性に公差を指示する。形体の幾何偏差がある種の公差によって定められる場合には、ときとしてこの形体の別の偏差がこの公差によって規制される。
- 形体の位置公差は、この形体の位置偏差、姿勢偏差、形状偏差を規制するが、姿勢公差や形状公差によって位置偏差を規制することはできない。
- 形体の姿勢公差は、この形体の姿勢や形状偏差を規制するが、形状公差によって姿勢偏差を規制することはできない。
- 形体の形状公差は、この形体の形状偏差だけを規制する。
参考・関連規格
- JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式
- JIS B 0025:1998 製図-幾何公差表示方式-位置度公差方式
- JIS B 0026:1998 製図-寸法及び公差の表示方式-非剛性部品
- JIS B 0027:2000 製図-輪郭の寸法及び公差の表示方式
- JIS B 0029:2000 製図-姿勢及び位置の公差表示方式-突出公差域