図形の表し方 - 断面図
断面図の注意点
普段から図面に接している人の多くは第三角法での図の配置に慣れています。断面図の配置も第三角法で描くことをおすすめします。
第三角法とは逆の方向に描かれた図面を見たことがありますが、非常に理解しづらい図面でした。また、部分的な断面図の場合も、識別番号が書かれているとはいえ、あちこちに散在していればどの部分の断面図なのか探すだけでも一苦労です。
このような図面は誤解を招く原因となりますので、図面を見る人の視点で描く癖をつけましょう。
また、断面のハッチングは必ずしもつける必要はないのですが、複雑な形状でハッチングがないと理解の妨げになってしまいますので、出来るだけハッチングはつけるようにしましょう。
断面図 一般事項
投影図では見えない隠れた部分を分かりやすく示すためには、断面図として表します。切断面の位置を指示する必要がある場合には、両端と切断方向の変わる部分を、太くした一点鎖線を用いて切断線を描きます。このとき、矢印によって投影方向を示し、アルファベットの大文字で識別番号を記入します。断面図の上か下に、切断面と同じ識別番号を記入し、どの部分の切断面なのかを明確にします。
断面図では、切断しても意味のないものや、切断したために分かりづらくなってしまう部分は、切断しなくても問題ありません。
ハッチング
断面図を描く場合には、断面の切り口を示すためにハッチングを施します。ハッチングはなくても良いのですが、図面を見たときにハッチングがあれば、その部分は断面図であるとすぐに理解できるので、できるだけハッチングをつけましょう。
ハッチングは細い実線で、通常は45°でつけるのが一般的です。ただし、45°にすると外形線と平行になってしまうなどの理由で、分かりづらくなってしまう場合には角度を変えても問題ありません。
同じ切断面上に異なる部品が現れる場合は、線の角度や間隔を変えて区別すると見やすくなります。
ハッチング上に文字や記号を記入する場合には、その部分だけハッチングをつけないようにして、文字や記号を読みやすくします。

全断面図
製品の端から端まですべてを切断するのが全断面図です。製品を一直線に切断する場合で、切断箇所が明らかな場合には、切断線や識別番号は省略できます。

片側断面図
中心線に対称な形状の場合は、半分だけを片側断面図として表すことができます。断面図との境界線は中心線となりますので、切断線は引きません。丸ものの製品などで片側断面図はよく用いられます。

部分断面図
投影図の一部分だけを部分断面図として表すことができます。この場合は、断面図との境界線を破断線によって示します。

回転図示断面図
少し特殊な方法ですが、ハンドルや車輪などの部材の切り口を、下記のように90°回転させて表す方法です。
- 断面箇所の前後を破断した間に描く。
- 切断線の延長線上に描く。
- 切断箇所に重ねて、細い実線で描く。
組み合わせによる断面図
製品が中心線に対称、または対称に近い形状の場合、片側を平行に切断し、もう片側を角度をつけて切断することもできます。
このように、断面図は切断する位置が明確であれば、わりと自由に切断することができます。

複数の断面図による図示
複雑な形状の製品を表す場合には、必要に応じて複数の断面図を用いることができます。


薄肉部の断面図
断面の切り口が薄い場合には、ハッチングではなく黒く塗りつぶします。
- JIS B 0001:2010 機械製図
- JIS Z 8316:1999 製図-図形の表し方の原則