寸法公差とはめあい方式
- 一般事項
- はめあい方式で使用される用語
- JIS B 0024 による公差付き寸法の解釈
- 寸法公差
- 包絡の条件
- JIS B 0024 によらない公差方式
- 穴の場合
- 軸の場合
- 標準温度
はめあい方式 一般事項
- はめあい方式は、単純形状部品用の公差及び寸法差の方式で、主として円形断面の円筒加工物に用いられる。
- 円形断面の加工物以外にも、キー溝などの平行二平面をもつ加工物にも適用することができる。
- 公差域クラスは、基礎となる寸法許容差を表す文字の後に、公差等級を表す文字を続けて表示する。(h7など)
- はまり合う形体の間のはめあいの要求事項は、次の表示をする。
- 共通の基準寸法
- 穴の公差域クラスの記号
- 軸の公差域クラスの記号
つまり、はめあい方式は、丸穴や丸い軸の直径方向の寸法と、平行二平面の寸法に用いることができます。長方形などの場合にも、2つの平行二平面にはめあい公差を指示することで解決できます。軸や穴の位置が重要になるはめあい部品の場合には、最大実体公差方式を合わせて用いることになります。
はめあい方式で使用される用語
- 基準寸法…上の寸法許容差、下の寸法許容差を適用することによって、許容限界寸法が得られる基準となる寸法。
- 実寸法…測定によって得られた形体の寸法。
- 局部実寸法…相対する二点間で測定した寸法。
- 許容限界寸法…実寸法がそれらの間に存在するように定めた、許容することができる二つの極限の寸法。
- すきま…軸の寸法が穴の寸法よりも小さい場合の寸法の差。
- しめしろ…軸の寸法が穴の寸法よりも大きい場合の寸法の差。
- すきまばめ…穴と軸とを組み立てたときに、常にすきまができるはめあい。
- しまりばめ…穴と軸とを組み立てたときに、常にしめしろができるはめあい。
- 中間ばめ…穴と軸とを組み立てたときに、実寸法によって、すきまかしめしろのどちらかができるはめあい。
- 軸基準はめあい…軸の最大許容寸法が基準寸法と一致するはめあい。
- 穴基準はめあい…穴の最小許容寸法が基準寸法と一致するはめあい。
- 基準軸…軸基準はめあいで、基準として選んだ軸。
- 基準穴…穴基準はめあいで、基準として選んだ穴。
- 最大実体寸法…二つの許容限界寸法のうち、形体の実体が最大となるほうの寸法。すなわち、軸の最大許容寸法と、穴の最小許容寸法。
- 最小実体寸法…二つの許容限界寸法のうち、形体の実体が最小となるほうの寸法。すなわち、軸の最小許容寸法と、穴の最大許容寸法。
JIS B 0024 による公差付き寸法の解釈
公差方式 JIS B 0024 の注記のある図面によって製作した加工物の公差は、下記の寸法公差、包絡の条件に示すように解釈します。
寸法公差
寸法公差は、ある形体の局部実寸法(二点測定)だけを規制するものであり、その形状公差(真円度、真直度、平面度など)を規制するものではなく、個々の形体の幾何学的相互関係は、寸法公差によって規制されない。
包絡の条件
組み合わされる部品間に、はめあいの機能を持つ円筒、または平行二平面で構成される単独形体の寸法と公差に記号を付記して、図面に指示される。これは、寸法と形状の相互依存性を示し、最大実体寸法における形体の完全形状の包絡面が侵害されないことが要求される。
JIS B 0024 によらない公差方式
公差方式 JIS B 0024 の注記のない図面に基づいて製作される加工物の公差は、規定された長さの範囲内において、次のように解釈します。
穴の場合
- 穴に内接する完全な最大仮想円筒の直径は、最大実体許容寸法より小さくあってはいけない。
- 穴の最大直径は、どのような位置でも最小実体許容寸法を超えてはならない。
軸の場合
- 軸に外接する完全な最小仮想円筒の直径は、最大実体許容寸法より小さくあってはいけない。
- 軸の最小直径は、どのような位置でも最小実体許容寸法を超えてはならない。
上記の解釈は、加工物がどの位置でも最大実体寸法にある場合には、加工物は完全な真円、真直である完全円筒でなければならないという意味です。
上記の条件を満たしていれば、完全円筒からの逸脱は直径公差の最大値に達してもよいということです。
真円度が悪いなど、最大の形状偏差が大き過ぎると問題が生じる場合は、真円度や真直度の公差などを別途指示する必要があります。
標準温度
JIS規格においては、寸法公差及びはめあい方式の寸法を決定する温度は、20℃となっています。
参考・関連規格
- JIS B 0024:1998 製図-公差表示方式の基本原則
- JIS B 0401-1:1998 寸法公差及びはめあいの方式-第1部:公差、寸法差及びはめあいの基礎